課題 エキスパート プロセス 成果 示唆 無料で相談する

Case Study #003  /  Public Sector  /  8 Months

国家プロジェクトを、
民間PMOが動かす。
国家プロジェクトを、民間PMOが動かす。

内閣府が主導する国家プロジェクト。大学・民間企業・関係省庁が入り乱れる複雑な環境で、研究開発を前に進めるPMO支援が始まった。

Read the Story

Chapter 01

「国」が動かす
プロジェクトの、
難しさ。

内閣府が主導するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)は、日本最大級の研究開発プログラムのひとつだ。

ある防災・減災分野のSIPプロジェクトに、PMO支援の依頼が入った。

SIPの特徴は、その複雑さにある。参加機関は、国立大学・私立大学・民間企業・独立行政法人・関係省庁——組織の種類も、文化も、意思決定のスピードも、すべてが異なる主体が、ひとつのプロジェクトとして動かなければならない。

大学は「研究の自由」を重んじる。民間企業は「成果と期限」を優先する。省庁は「手続きと合規性」を最重視する。この3者が同じテーブルで議論すると、すれ違いが起きる。

「会議を開けば開くほど、認識のズレが表面化する。でも、会議をやめるわけにはいかない。それがSIPプロジェクトの難しさです。」——プロジェクト関係者の証言(匿名)

加えて、研究開発プロジェクト特有の問題がある。

研究は、計画通りに進まない。仮説が崩れ、実験が失敗し、想定外の発見が生まれる。これは研究の本質であり、問題ではない。問題は、「計画通りに進まないこと」を、どう報告し、どう対処するかの仕組みがないことだ。

進捗が遅れているのか、方向転換が必要なのか、単に時間がかかっているだけなのか——これを判断できる情報が整理されていないまま、報告会だけが増えていく。

PMO不在のSIPプロジェクトは、往々にしてこのパターンに陥る。

研究が計画通りに進まないのは当然だ。
問題は、それをどう管理するかの
仕組みがないことだ。

Chapter 02

民間と行政、
両方の言葉を
話せる人間。

このプロジェクトに必要だったのは、研究者にも官僚にも、同じ温度感で話しかけられる人間だった。

担当したエキスパートは、大手コンサルファーム出身のPMO専門家だ。

彼のキャリアで特筆すべきは、民間企業だけでなく官公庁・独立行政法人でのプロジェクト経験を持つことだ。「行政の論理」を理解しながら、「民間の効率性」を持ち込める——この両立が、SIPプロジェクトでの最大の強みになった。

「行政の方と仕事をするとき、最初にやることは『なぜこの手続きが必要か』を理解することです。批判ではなく、理解から始める。そうすると、改善できる余地が見えてくる。」
官民横断 × PMO型コンサルタント
大手総合コンサルファーム出身 官公庁・独立行政法人での実績あり 複数研究機関の横断調整に精通 議事録・報告資料の高速作成 ステークホルダー管理・リスク管理 研究開発プロジェクトのPMO経験
12+
ファーム経験年数
コンサル業界でのキャリア
30+
ヒアリング実施人数
本プロジェクトのみ
5+
関係機関数
大学・企業・省庁

このプロジェクトで最も評価されたのは、「中立性」だった。

大学側でも省庁側でもなく、「プロジェクト全体の成功」だけを見て動く——この姿勢が、異なる組織文化を持つステークホルダーから信頼を得ることにつながった。

Chapter 03

「見える化」から、
すべては始まった。

PMOとして最初にやるべきことは、現状を「誰もが同じように見える状態」にすることだ。

担当エキスパートが最初に手をつけたのは、進捗の可視化だった。

SIPプロジェクトには複数の研究テーマがあり、それぞれの主査機関(大学・企業)が個別に進捗を管理していた。しかし、その情報が統合されていない。全体として「今どこにいるか」が、誰にも見えていない状態だった。

彼はまず、全研究機関共通の進捗報告フォーマットを設計した。

会議の前に全員が同じ「地図」を持っていれば、議論の質は変わる。まず「地図」を作ることに、最初の1ヶ月を費やした。

共通フォーマットの設計で意識したのは「シンプルさ」だった。

報告フォーマットが複雑だと、研究者は「報告のための作業」に時間を取られる。研究時間を削らずに報告できる——この制約を守ることが、研究機関からの協力を得るための鍵だった。

進捗の可視化が完了すると、次の課題が浮かび上がった。研究テーマ間の「論点の重複」と「連携できる可能性」だ。

個別に進んでいた研究が、実は同じ課題にアプローチしていることがわかった。連携することで、双方の研究がより前進できる——これを発見し、各機関に提案することも、PMOの重要な役割だった。

Chapter 04

8ヶ月、
複数機関を
束ねた記録。

プロジェクトは3つのフェーズで進んだ。それぞれに、固有の困難と発見があった。

Phase 1: 1〜2ヶ月目

現状把握と体制確立

最初の2ヶ月は、全研究機関へのヒアリングに費やされた。

各機関の研究内容・進捗・課題・懸念——これらを個別にヒアリングし、全体像をマッピングした。30名以上に話を聞いた。

同時に、会議体を再設計した。委員会・ワーキンググループ・個別ヒアリング——それぞれの目的と参加者を明確にし、「情報共有の場」と「意思決定の場」を分離した。

「最初の2ヶ月で全員と話すのは、体力的にきつい。でも、ここで信頼関係を作っておかないと、後で何かあったときに協力してもらえない。」
Phase 2: 3〜6ヶ月目

会議運営と論点整理

会議の設計・運営支援が本格化した。

月次の委員会では、各研究機関の進捗を「計画対実績」の形式で整理し、事前に全員に配布した。会議の場では「確認」ではなく「議論」に時間を使えるようにした。

最も時間を要したのは、議事録の作成だ。

SIPの会議は、発言が多岐にわたる。技術的な議論・政策的な判断・予算的な制約——これらが混在する会議の議事録を「逐語ベース」で作成し、後日の参照に耐えるドキュメントとして整備した。

議事録は、プロジェクトの記憶だ。
曖昧に書けば、後で
「そんなこと言っていない」が起きる。
Phase 3: 7〜8ヶ月目

報告資料作成と完了

内閣府・関係機関向けの報告資料作成が最終フェーズだった。

研究成果をどう可視化するか。技術的な内容を政策担当者にどう伝えるか——専門性の高い研究成果を、意思決定者が理解できる言語に変換する作業が続いた。

最終報告会では、全参加機関からの成果が統合されたレポートが提示された。「8ヶ月でここまで整理できた」という達成感が、関係者の共通認識となった。

Chapter 05

8ヶ月後、
プロジェクトは
整った。

数字よりも、「状態の変化」が成果だった。

向上
会議品質
「情報共有」から「意思決定」の場へ
確立
報告体制
全機関共通フォーマットで統合管理
継続
研究推進
成果報告まで計画通り完遂

このプロジェクトの成果は、数字で測りにくい。

研究開発プロジェクトの「成功」は、論文の本数や特許の件数で測られるものではない。少なくとも、PMOの役割においては。

PMOとしての成果は、「プロジェクトが止まらなかったこと」だ。

複数の研究機関が、8ヶ月間、脱落者なく走り続けた。会議に出続けた。報告書を出し続けた。これは当たり前に見えて、実は極めて難しいことだ。

「PMOがいなかったら、どこかのタイミングで誰かが『もう無理です』と言っていたと思います。それを防いでくれた。」——プロジェクト関係者の証言(匿名)

プロジェクトの終盤、内閣府への最終報告会で、担当者からこう言われた。「来年度も続けられる体制になっている。」

自分がいなくても回る体制を作る——これが、PMOの最終目標だった。

Chapter 06

複雑な組織を動かす、
3つの原則。

これは、国家プロジェクトだから特殊な話ではない。複数組織が関与するプロジェクト全般に応用できる。

1「中立性」が最大の武器になる

複数の組織が関与するプロジェクトで、PMOが特定の組織の側についた瞬間、信頼は崩れる。

「プロジェクト全体の成功だけを見て動く」という姿勢を、言葉だけでなく行動で示し続けること——これが、異なる文化を持つ組織を束ねるための唯一の方法だ。

2「地図」を作ることが、議論の質を変える

全員が同じ情報を持った状態で会議に臨めば、議論の質は劇的に変わる。

共通フォーマット・共通言語・共通の現状認識——これらを整備することに最初のエネルギーを集中させることが、プロジェクト全体の効率を上げる最短経路だ。

3「記録」はプロジェクトの生命線である

会議の議事録・報告資料・意思決定の経緯——これらが正確に残っていることが、後のトラブルを防ぐ。

「そんなこと言っていない」「あのとき決まったはず」——プロジェクトで起きる多くの対立は、記録の不備から生まれる。PMOの仕事の半分は、記録を守ることだと言っても過言ではない。

プロジェクトの記録は、
未来への保険だ。
曖昧に残せば、
必ず後で支払いを求められる。

Chapter 07

同じ課題、
ExpertMatchで
解決できます。

このストーリーを読んで、自社と重なる部分はありましたか?

複数の組織・部門が関与するプロジェクトで、調整に疲弊している
会議の数は多いのに、何も決まらない状態が続いている
PMO機能が社内になく、誰がプロジェクトを推進するか決まらない
進捗の可視化ができておらず、全体像が誰にも見えていない
報告資料の作成に時間を取られ、本来業務が圧迫されている
外部の専門家と連携するプロジェクトで、言語・文化の違いに苦労している

ひとつでも当てはまる方へ

複数組織が関与するプロジェクトの難しさは、技術的な問題ではなく、「人と組織の問題」にある。

それぞれの組織文化を理解し、それぞれの言語で話しかけ、全体の利益のために動ける人間——こういうPMOは、社内では育てにくい。なぜなら、「中立性」は社内の人間には持ちにくいからだ。

ExpertMatchを通じて、官民横断の経験を持つPMO型エキスパートをアサインできる。初回相談は無料。プロジェクトの現状整理から、専門家と一緒に進められる。

OTHER CASES

他の支援事例を読む

Chapter 08

このストーリーを
読んだ、あなたへ。

複雑なプロジェクトは、整理から始まる。
ExpertMatchは、その整理を、無料で支援します。

ExpertMatchは、大手コンサル出身の専門家と中堅企業を直接つなぐマッチングプラットフォームです。エキスパート・企業双方の実名は、面談確定まで非公開です。

無料で相談する